鮭と鱒の違いについて知っていますか?
こんにちは。本記事では、鱒(マス)と鮭(サケ)の違いについて、誰でもわかりやすく、専門知識も交えて教えたいと思います。
鱒と鮭は非常に近い仲間ですが、英語でもSalmon(サーモン:鮭)とTrout(トラウト:鱒)という言葉があるように分けて考えられています。
鱒と鮭はどちらも基本的にサケ目サケ科(サケ目にはサケ科しかありません)の魚ですが、生態や味には大きな違いがあります。それでは、一つずつ見ていきましょう。
生態の違い
まず、生態についてですが、鮭と鱒は同じサケ科の仲間ですが、海や川で暮らす場所や時間に違いがあります。
最も明確な違いは、サケが大西洋と太平洋の両方に生息し、トラウトは主に北半球の淡水域にのみ生息していることです。(放流個体は除く)
鱒は淡水の川で育ち、一生を川で過ごすことが多いです。
一方、鮭は海で成長し、産卵のために川に戻ることが特徴といえます。
ただし、例外もあります。サツキマスやサクラマスなどは海に降りた鱒であり、ヤマメやイワナなどは一生を川で過ごしたものを呼びます。
一般的に、鮭は川で孵化した後、海へと降りて成長し、産卵のために再び川へと上る回遊性の魚です。
しかし、海へ降りないで淡水で暮らす個体も存在し、これを「陸封型」と呼びます。鱒は淡水で暮らすことが多く、「陸封型」のサケ科の総称です。
しかし、中には海へ降りる個体も存在し、ヤマメが海に降ったものはサクラマス(卸売市場では「本マス」)、アマゴが海に降ったものはサツキマスと呼ばれます。
つまり、「サケ」と「マス」に生物学的な違いはなく、「海へ降りるかどうか」という習性で呼び分けられています。
色の違い
また、さらに、サケの体色は、種や個体によって異なり、一般的には銀色または青銅色をしています。
これは「スモルト化」と呼ばれる現象で、サケやマスなどのアユ科の魚が、淡水から海水へと移行する際に起こる生理的変化のことを指します。
サケとマスの違い:スモルト化
スモルト化は、淡水域で生まれた幼魚が、成長するために海水へ移動するために必要な適応過程であり、魚の生活史において重要な段階の一つです。
スモルト化には、いくつかの生理的変化が見られます。たとえば、淡水中で生育していた幼魚が、塩分濃度の高い海水に移行するために、鰓の構造が変化し、塩分排出を促進するようになります。
また、スモルト化は、魚の行動にも影響を与えます。淡水中では、魚は主に上流方向に移動する傾向がありますが、スモルト化後は、海水中での生活に適応するために、下流方向に移動するようになります。
スモルト化は、水温、日長、流速、水質などの環境要因によっても影響を受けます。たとえば、水温が低い場合や日長が短い場合には、スモルト化が遅れる傾向があるそうです。
一方、マスの体色は、茶色、黄色、または緑色をしていることが一般的です。
見た目の違い
サケの身は、高い脂肪含量と比較的豊富な味わいを持ち、トラウトの身は、サケよりもやや淡白であることが一般的に言われています。
サケはマスよりも大型であり、成体の体重は十数キロに達することがありますが、トラウトは一般的には小型で、最大でも数キロ程度の体重にしかなりません。
英語のSalmonとTroutの違い
では、英語でSalmonとTroutはどのように区別されているのでしょうか。
ロングマン現代英英辞典によると、Salmonは「海に生息し、産卵のために川に登る、銀色の肌とピンク色の肉をもつ大型魚」とあります。
Troutは「食用にされることの多い一般的な川魚、またはその肉」とあります。
日本語と同じく、英語でも鮭は川を遡上するもの、鱒は川に生息しているもの、という認識の様ですね。
味の違い
次に、味についてですが、鮭と鱒では脂質量大きさなどによって食べ方や風味にも違いがあります。
一般に私たちが食べる鮭は「シロザケ(サケ)」「ギンザケ」「アトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)」などがあります。
このうち、シロザケは天然の鮭です。時期によって秋鮭、時鮭などと呼ばれることがあります。ギンザケやアトランティックサーモンは基本的に養殖の鮭です。
天然の鮭は、自然界で自由に泳ぎ回っているため、身に筋肉がつき、身が引き締まっています。
秋鮭として販売されるシロザケは産卵期のため身の赤みは薄く、脂分も少ないためさっぱりした味わいです。
一方成長期である時鮭は脂分が多く、赤みも強いです。
天然魚は、自然な餌である甲殻類や小魚を食べているため、身の味わいに深い旨味があります。
一方、養殖サーモンは、脂肪分が高く身が柔らかくなる傾向があります。
養殖サーモンには、天然餌に代わるエサが使用されることが一般的で、エサによって味わいに違いが出ることがあります。
寄生虫について
鮭も鱒も、天然のものは寄生虫の感染リスクがあるため生食することはおすすめしません。
養殖ものは鮭も鱒も基本的には寄生虫リスクが少ないので生で食べても大丈夫です。
鱒いくらと鮭いくらの違い
鱒いくらと鮭いくらは、両方ともイクラとして販売されていますが、種類や特徴には以下のような違いがあります。
魚の種類
鱒いくらは、ニジマスまたはマス科の魚が産むイクラを指します。一方、鮭いくらは、サケまたはサケ科の魚が産むイクラを指します。
大きさ
鮭いくらは、一般的に大粒であるため、食感がよく、口当たりが良いとされています。
一方、鱒いくらは、小粒であるため、口当たりが滑らかであり、味わいはマイルドであるとされています。
風味
鮭いくらは、脂質が豊富で、口に入れると濃厚な味わいがあります。一方、鱒いくらは、脂質が少なく、さっぱりとした味わいがあります。
価格
鮭いくらは、鱒いくらに比べて一般的に高価であることが多く、高級食材として扱われています。
鱒いくらは鮭いくらと比較すると30%くらい安値で取引されます。
販売されているいくらがやけに安かったら、それはおそらく「鱒いくら」でしょう。
また、「鮭いくら」と書いてあっても「紅鮭」のいくらは粒が小さく味わいがかなり異なります。ランクとしては 鮭いくら>鱒いくら>紅鮭いくら という感じです。
まとめ
- 鱒と鮭はサケ科の仲間であり、生態に大きな違いがある。
- 鮭は海で成長し、産卵のために川に戻ることが特徴。鱒は淡水の川で育ち、一生を川で過ごすことが多い。
- サケの体色は銀色または青銅色をしており、マスの体色は茶色、黄色、または緑色をしている。
- 天然の鮭は自由に泳ぎ回っているため、身に筋肉がつき、身が引き締まっている。
- 鮭も鱒も天然のものは寄生虫の感染リスクがあるため、生食することはおすすめできない。
- 鮭いくらと鱒いくらでは魚の種類、大きさ、色、風味、価格などに違いがあり、一般的に鮭いくらのほうが高級
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